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夕木春央著 今話題の「十戒(じっかい)」を読んでみた!

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こんにちは、ただほんです。

今日は夕木春央さんの新作ミステリー小説「十戒(じっかい)」について紹介したいと思います!

 夕木春央さんは

2019年、「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞。同年、改題した『絞首商會』でデビュー。著作に『サーカスから来た執達吏』『時計泥棒と悪人たち』がある。『方舟』で「週刊文春ミステリーベスト10国内部門」「MRC大賞2022」第1位。

本書より

話題の新人ミステリ作家さんですね。とにかく書く小説、みな話題になる小説家さんです。

その中でも『方舟』はとても話題になりました。テレビなどでもたくさん紹介されましたし、「クローズドサークル」の作り方が斬新で面白い、最後にどんでん返しがあり、気を抜けない小説でした

その『方舟』(『絞首商會』も)についてのブログも書いているので参考にどうぞ!

では、本書「十戒」をご紹介していきましょう!

「十戒(じっかい)」

この「十戒(じっかい)」とは、もちろん聖書から取った題であり、本書にも聖書の言葉が書かれています。いわゆる(海を2つに分けた)モーセの十戒です。

見よ、わたしは契約を結ぶ。
わたしは地のいずこにも、
いかなる民のうちにも、
いまだ行われたことのない不思議を、
あなたのすべての民の前に行うであろう。
あなたが共に住む民はみな、
主のわざを見るであろう。
わたしがあなたのためになそうとすることは、
恐るべきものだからである。

旧約聖書 出エジプト記 第三十四章 十節

この「契約」が十戒ですね。

簡単に言うと、神がイスラエルに与えた10個の戒め(律法)のことです。そして、この10個の戒めがいろいろな国々の法律の基本になっているそうです。

全部は説明しませんが、「6日間働いて7日目は休むように」「あなたの父と母を敬え」「殺してはならない」「姦淫してはならない」「人のものを欲しがってはならない」などがあり、

それが法律のもとになっているのでしょう。

聖書について書いている箇所がありましたが著者の夕木春央さんはもしかしたらクリスチャン?なんて思ったりもしますが、今作もほぼ聖書とは関係なく物語は進んでいきます。

 登場人物

  • 大室 里英(おおむろりえ)…19歳。芸大を目指している。島には子供のときに遊びに来ている。主人公的位置にいる。
  • 大室…里英の父。亡くなった兄の所有の島を貸そうとしている。少し頼りない感じ。
  • 大室脩造(おおむろしゅうぞう)…亡くなった里英の叔父。小さな無人島を所有している。
  • 沢村さん…日陽観光開発という会社から来た、島をリゾート開発して貸し出したらどうか、と提案してくる。
  • 綾川さん…日陽観光開発から来た若い研修社員。
  • 草下さん…草下工務店社長。
  • 野村さん…草下工務店、設計士。40代の茶髪で鋭いスポーツサングラスをかけたおばさん。
  • 藤原さん…羽瀬蔵不動産から来た。30代前半の髪を明るく染めた男性。
  • 小山内さん…羽瀬蔵不動産。50代ぐらいの男性。一番初めに殺される人。
  • 矢野口さん…亡くなった叔父の友達。島に来たいと言ってついて来る。

この9人の中から1人が殺され事件が起こっていきます。

あらすじ

浪人中の里英は、父と共に、叔父が所有していた枝内島を訪れた。
島内にリゾート施設を開業するために集まった9人の関係者たち。
島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、
そして、十の戒律が書かれた紙片が残されていた。
゛この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。
守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。
犯人が下す神罰を恐れながら、
「十戒」に従う3日間が始まったー。

本書裏帯より

誰が犯人か分からない中、「犯人を探してはならない」という戒律に従いながら、皆が疑心暗鬼になっていきます。

なぜ殺されたのか、1人だけなのか、連続殺人になっていくのか、何も分からず不安な3日間を主人公たちは送っていきます。

ただほんの書評!

今回のキーポイントは「島」と「十戒」です。

まず、「島」という「クローズドサークル」があり、「十戒」という戒律で逃げられなくして追い詰めていきます。

現実的には、携帯もあり連絡手段がありますから、逃げることができるし、船を呼べば帰れるのですが、「十戒」がそれをさせなくしています。

マインドコントロール下にある「クローズドサークル」でした。

う〜ん、逃げようとすれば逃げれるし、究極的に追い詰められたら、人間、島外に連絡しちゃうんじゃないですかね?

犯人が必ず島を爆破しないって確証もないですし、全員助けるって確証もないですし、疑心暗鬼になったら爆破される前になにか行動を起こさないとって思うと思うのですが…。

(だって、例えば無事に島を出れたとしても、殺人事件が起こったことは事実ですから警察に調べられたらバレてしまいますので、皆殺したほうが犯人にとって良くないですか?)

そうなっちゃったら、犯人にとっては想定外になっちゃうし、「クローズドサークル」も成り立たなくなってしまいます。

でも、そこが「十戒」によって精神的コントロール出来ちゃうってことですかね。

面白かったですが、「方舟」ほどのびっくりではなかったです(犯人の正体含めて)。個人的にはもう少しな内容でした…。

それにしても、人を何人も殺す人の精神状態って、分かんないですね。

夕木春央さんの「サーカスから来た執達吏(しったつり)」を今読んでいるのですが、最高に面白いです!

読み終わったら、そちらもブログに書きますので。

とにかく、「十戒」もおすすめです!

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