こんにちは、ただほんです。
今日は、島田荘司さんの御手洗潔(みたらいきよし)シリーズの「改定完全版 異邦の騎士」について書いていきたいと思っております。
「異邦の騎士」とは?
簡単なあらすじと登場人物
あらすじ
失われた過去の記憶が浮かびあがり男は戦慄する。自分は本当に愛する妻と子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活にしのび寄る新たな魔の手。名探偵御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリ『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆修正した改定完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。
本誌裏表紙より
登場人物
- 男…「俺」、(仮)石川敬介、益子秀司?記憶喪失で自分が誰だか分からない。
- 石川良子…「俺」と出会い、そのまま同棲する。
- 御手洗潔(みたらいきよし)…占い師。
登場人物は他にもいますが、後半までこの3人で話が進みます。
始まりがまた、面白い!
目が覚めてみるとベンチの上だった。
冗談じゃない!思い出せないのだ!とてつもない恐怖ー?!
本文より
俺は誰だ?!だいたいここはどこなんだ?!
詳しいあらすじ
自分は誰か、ここはどこか、なぜ思い出せないのか?何もわからない。
「俺」は記憶を失っている。なぜ?
歩いていると若い娘がサングラスをかけた若い男と言い争っている場面に出くわす。娘は「俺」の胸に飛び込んできて助けを求める。サングラスの男は去っていき、娘は石川良子と名乗り、サングラスの男は彼女のヒモだと言う。
彼女はヒモから逃れるために、明日引っ越したいと言い、「俺」にトラックの運転を頼んでくる。運転免許証はなかったが、大丈夫だろうと引け受けた。
そこから一緒に住むようになり、男は「石川敬介」と名乗る。それからは二人で幸せな日々を送っていた。
それから少し経ち、気になっていた看板「御手洗潔占星学教室」を訪ねてみることにする。そこから、御手洗潔との友情が始まり、そこに良く行くようになる。
あるとき、自分には妻と娘がいたことを知る。その妻と娘が、ある男たちに殺されていたことを知り、驚愕する。そして、自分はその一人の男を殺していた、殺人犯であることを知る。
もうひとり、自分は殺さなければいけない、妻と娘の復讐をしなければいけないことに気づく。
「俺」は、本当に人を殺していたのか?御手洗潔は男の復讐を止めることはできるのか?
ただほんの読書のポイント!
作品のポイント
1,登場人物の「俺」は御手洗潔シリーズのメインキャラクターです。
2,シリーズの過去の話で、言ってみると第一作に当たる作品です。著者のあとがきに書いてありますが、小説を書いた最初だったそうです。
3,「御手洗潔」の友情が素晴らしいです。どんなに「俺」に悪く言われても、復讐(ふくしゅう)を止めに行くその姿に感動しました。
「俺」と御手洗潔の関係がよく分かり、シリーズの作品たちにも深みが出ました。
これを一番に読んでも良いぐらいです。
とても、面白い小説でした。
ただほんの気になるポイント!
①気になるポイントは、結局「俺」は殺人をしてしまいますが、それがなかったかのように感動的な感じで物語が終わっていきます。
あれ?結局、「俺」殺してないか?もちろん不慮の事故だし、「俺」はだまされていたし…。
なんて思いましたが、これは「御手洗潔シリーズ」の番外編だと思ったら、アリかも。
そこは目をつぶって次の作品に行こうと思います。
②気になるポイントは、御手洗潔のキャラクターです。
「その鼻持ちならない自信過剰!自分のことを何だと思ってるんだ?!神様だとでも思っているのか?」御手洗は無言でこっちの顔を見ていた。
本誌より
「だから、人の心をもてあそんでもいいと思ってるのか?君はどんなに人の心を傷つけても平気なんだ。自分がどれほど残酷なことをしているのか、まるで考えようともしない!」
「益子君、残念だがまだ君には全体が解っていない。だから君には解らないんだ。僕が君を傷つけないために行動してるんだってことが」
御手洗潔は変わっていて、友達もいません。記憶喪失の「俺」も友達がいません。
その二人が会い、友情を持ち、親友になりました。
それを壊してしまいそうな「俺」の発言。それでも、御手洗潔は友情を捨てず、友が傷つかないように行動していました。
この二人の友情を見ることが出来て、これからのシリーズの作品に対しても見方が変わってくると思います。
読んで損はない作品であり、読んでおいたほうが良い作品です!
今のところ、「占星術殺人事件」「斜め屋敷の犯罪」そしてこの「異邦の騎士」と3つ読みましたが、気になっているのは「眩暈(めまい)」です。
「眩暈」は「占星術殺人事件」を愛読する青年が書き残した日記が元になっているらしいので、気になりますが、まだまだ読めないですね。
次は「御手洗潔の挨拶」を読みたいと思っています。
小説は、やっぱり「異世界探訪」であり、現実逃避できるものです。作者の世界に入り、その中をのぞくことができるのは最高です。
あなたも現実逃避してみませんか?
どの小説でも良いので、その世界に入り浸(ひた)ってみてください。
たのしいですよ!
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